(8年前、1/7)

午後の静けさとノーパソをただかちゃかちゃするだけの音。
広大なネットの世界でそれでも俺はいつも決まった所を巡回する何も生み出さない時間。悪くはないけれどたまに思い出したかのようにこみ上げてくる焦燥とか何とかはぬるくなったコーヒーとともに飲み込んじまうぜ!

水銀燈はいたりいなかったり。でも外は寒いし風も吹いてるしで陽が傾くといつの間にかいる。お互い会話がなくたって全然へっちゃらだ。たまに見やると彼女は彼女で考え事でもしているのか遠くを見ている。
ゆっくりと流れる時間。

「にゃー」
どうしたんですかめどいさん!ねえめどいさんめどいさん!
違います。うろうろしてるのは猫です。でも便宜上めどいさんでも別にいいです。何の便宜上か。

めどいさんは好き勝手に行ったり来たり。ほかの猫と比べてもお行儀がいいので放っておくことができます。葉っぱをむしったりしません。障子も破らないしカーテンをかけ上ったりもしません。
せいぜい俺の靴下をくわえてニャーニャー鳴きながら何処かへと運搬する趣味があるくらいです。
めどいさんめどいさん。俺の靴下はどこへやったのかね。
「にゃー」
うむ。ならば良し。

頭をなでると俺は再びネットの旅人に。
めどいさんは俺の足に頬をこすりつけるとまたどこかへ行ってしまいます。縄張りの巡回でしょうか。精が出ます。ていうか俺の足は縄張りなのか。

どういう経路か、凄いいい感じの日記を書くところに辿り着きました。
やっぱり丁寧な文章はいいなあ、と再確認。即ブクマク。
本当にいい文を書く人は愚痴さえも誰かへの攻撃ではなくって
「弱りました」
って感じで良いのです。俺もそんな綺麗な文が書きたいぜとひとしきり嫉妬の炎をめらめらさせつつもまた行こう。暇な時熟読しようと思った。

「ちょ、ちょっとぉ」

水銀燈の困ったようなでも嬉しそうな声で俺は我に返りました。

見ればめどいさんを抱っこしています。あーあー白い毛が服にこんなに。
でも困っているのはそこじゃないみたいです。
ごろごろとのどを鳴らせためどいさんは「さあ愛でるがよい」レベルがかなり極まっています。水銀燈の胸のあたりを甘噛み甘噛み。

めどいさん!めどいさん!それじゃ服に穴があいちゃう!
「めどいさんって誰ぇ」
言いながらも水銀燈は彼女をかばうように、
「でも歯は立ててないのよぉ。くすぐったくって変な感じ」

ああ、それはめどいさんの愛情表現っす
甘噛みよりもずっとクオリティタカスな行為です羨ましいです
歯じゃなくってなんつうか歯茎の辺りでモニュモニュしてるでしょう?

「?…そうみたい」

それはもう相当仲のいい証拠です。
めどいさんは本当に気を許した相手にしかノミ取りはしてくれませ
「ノミなんていないわぁ!」

いや、あの、違っ、違くて、

ああ、水銀燈の機嫌を損ねてしまった。




                            ROMAN/SOFTBALLET

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